パートのこんな印象

組織指向型や市場指向型、定着型や流動型と表現される雇用が何であるかを詳しく検討したい。
その上で現在の制度変更は、どのような意味で「市場型」や「流動型」の雇用システムへと近づくのかを考えたい。それは既存のシステムの否定や破棄を意味するだけなのか。
それともその基本的特徴を維持した上でそれに修正を加えていくのか。もし前者であれば、それによってどのようなシステムが新たに築かれるのか、後者であれば、その部分的な修正はどのような結果をもたらすのか。
前者であればそのための条件は何か、後者であればそこに維持されるものは何か。こうしたことを考えたい。
いずれにせよ、現在の制度変更をどのように理解するのかが問われている。将来の行方を問うことは、現在をどのように理解するかにかかっている。

そのためにも日本型雇用システムの正確な理解が必要だ。繰り返されてきた雇用調整当然のことではあるが、これまでの日本型雇用システムにおいても、転職や労働移動がなかったわけではない。
後に見るように、それは「予想外に」高い水準だといってもよい。雇用調整そのものも、これまでに幾度となく繰り返されてきた。
70年代の石油ショック後の不況においても、80年代の円高不況においても、大規模な雇用調整が進行した。そして現在、「戦後最悪」の雇用調整が進行している。
ちなみに、「戦後最悪」という表現は、4半世紀前にも飛び交った。第一次石油ショックによる1973年のマイナス成長に伴って、「戦後最悪」の雇用調整が進行した。
昨年1997年度、日本経済は再びマイナス成長に落ち込んだのであり、してみれば、再度の「戦後最悪」に直面するのも当然といえる。しかもバブルの崩壊後、ほぼゼロパーセント成長のあげくのマイナス成長であり、さらに今年度はさらなるマイナス成長に落ち込むことは必至である以上、現在の「戦後最悪」が、4半世紀前のそれを軽く凌駕することも不思議ではない。
戦後最悪の不況が戦後最悪の雇用調整を余儀なくさせているのである。しかし、改めて指摘すべきは、現在の「戦後最悪」においても、雇用調整のパターン自体はこれまで通りのものだということだ。
残業規制から始まって、中途採用や新規採用の削減や停止、配置転換や出向や一時帰休というように、そして直接の人員削減そのものも、自然減からはじまり、早期退職や希望退職を募るというように、既存のパターンを忠実になぞったものだといってよい。そして現在、このようなパターンの最後の局面にあえいでいる。

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